不登校や引きこもりの子供・成年たちの為にフリースクールを全国に展開しております。
Navigation

お悩みNO.755
えみさん
非行削除
離婚後息子は4年生で 軽い発達障害があり 精神的に病んでいた私は、息子に手を挙げ児相に行き 引き取った父親ともうまくいかず暴力を振るわれ 警察に保護され児相に行った後は、おばあちゃんの家に2年ほどいて 親権を調停で父親にとられ離れ離れで暮らしていました。数ヶ月に一回泊まりに来たりしていて 高校二年生の時に父親とは、やって行けないから私のところに来たいと言われ 一緒に住むようになったのですが 中学の時の悪友と今年から頻繁に泊まったり遊んだり学校サボったりしていて 来年春卒業が難しいと言われてる中で 何か注意されると すぐに切れたりして 手がつけられません。このままでは、 いつか犯罪を犯すのでは、ないかと不安です。
投稿日:2018-08-28
返信 1
若者教育支援センターさん
えみさんへ削除
はじめまして。
ご相談ありがとうございます。

家庭内暴力について以下にまとめてみました。
参考にしてください。
投稿日:2018-08-28
返信 2
若者教育支援センターさん
えみさんへ削除
「家庭内暴力の対処法①」

【家庭内暴力とは】
■家庭内暴力の定義
家庭内暴力は、家庭内で起きる暴力のことで、一般的に子どもが親に対して暴力をふるうことを指します。
また、同様に家庭内で起きる暴力であっても、親が子どもに暴力をふるう場合を“児童虐待”、夫が妻に暴力をふるうものを“DV”(ドメスティックバイオレンス)と呼ぶことが通例となっています。
こうした用法にならって、子どもが親に対して暴力をふるう「家庭内暴力」について解説します。

警視庁は家庭内暴力について以下のように定義しています。
少年が、同居している家族等に対して継続的に暴力を振るう事案をいい、家庭内暴力を止めようとした第三者に対して暴力を振るう事案や他人の所有物を損壊する事案については含まない。
「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」(警察庁生活安全局少年課)より引用

ここでの少年とは20歳未満の者を指しています。
つまり、家庭内暴力とは20歳未満の子どもが家族に対して行う暴力行為を意味します。
ここでいう暴力には、身体的な暴力や、暴言、家具や家財の破壊なども含まれます。

■家庭内暴力の特徴
家庭内暴力の特徴としては以下の2つが挙げられます。
・暴力が家庭内でのみ行われる
・暴力の対象が人である場合、暴力をふるう本人より弱い者が対象となりやすい
・・・事実、暴力の対象のうち約6割が母親であることが警視庁によって報告されています。

■警視庁による認知件数
家庭内暴力は、1960年代から顕著に現れるようになりました。
警察庁生活安全局少年課による報告書「少年の補導及び保護の概況」によれば、平成27年度現在、家庭内暴力の認知件数は2,531件にのぼります。
また、この数字は平成18年の1294件と比べて約2倍となっており、近年も増加傾向が続いています。
実際に家庭内暴力をおこなうのは中学生がもっとも多く、次に高校生、小学生の順となっています。
さらに、性別でみると男子が圧倒的に多く、女子と比べて2~3倍多く報告されています。

同報告書によると、家庭内暴力の動機は
1番多いのが「しつけ等親の態度に反発して」(1,636件、全体の65%)、
2番目が「理由もなく」(261件、全体の10%)、
3番目が「物品の購入要求が受け入れられず」(225件、全体の9%)
となっており、以降「不明」「勉強をうるさく言われて」「非行をとがめられて」といった動機が続いています。

非行をとがめられた際に反発して起こる家庭内暴力が実は意外と少なく、親の態度への反発から生まれる家庭内暴力が圧倒的に多い結果となっています。
実際、おとなしい性格で、学校での成績もよい子どもがある日を境に家庭内暴力を行うようになるケースも多く報告されています。

【家庭内暴力を引き起こしやすい子ども・家庭の特徴】
家庭内暴力をする子どもには、本人の性格や家庭環境に一定の共通点が存在するといわれており、具体的には以下のようなものが挙げられます。
ただし、様々な組み合わせがあり、また例に挙げた要因に当てはまらない場合もあります。

■本人の性格・特徴
・真面目、内気、おとなしい
・家庭外では他人に対して従順で、自己主張が乏しい
・神経質である
・比較的友人が少なく孤立的である
・非行に走ってはいないが、生活習慣の乱れなどがある

家庭の外において反社会的な言動をおこなう非行少年・少女とは対照的に、家庭内暴力を行うのは比較的おとなしく、学校でもあまり多くの友達を持たない子どもが多いようです。

■家庭環境
・母親が過干渉で父親が無関心である(もしくはその逆)
・親子分離が少なく、子どもの親への強い依存心、甘えがある

家庭内暴力が起きている家庭は、経済的に豊かで、親も教育熱心ということが少なくないようです。
そんな家庭で家庭内暴力が起きてしまうのには、中学生や高校生で挫折して、学力が低下したり、親が期待しすぎたり、干渉しすぎるなどの理由で不登校になり、親への反抗から暴力をふるうようになってしまうというパターンが多いといわれています。
また、ときには世代間の考え方の違いが意見の違いをもたらし、その表面化が子どもの親不信の引き金となることもあるようです。

【家庭内暴力の原因】
家庭内暴力は、様々な要素が複雑に絡み合って起きるため原因の特定は困難であるといえます。
親の育て方が悪かったという見方をされがちですが、そうとは言い切れないこともあります。
なぜなら、家庭内暴力の原因には社会的な要因、心的外傷、精神疾患などといった、親にはどうしようもないさまざまな要素が複雑に関連している可能性があるからです。

親への反発が暴力を誘発しているケースが存在するのは事実ですが、だからといって親がそもそもの原因であるとする考え方は解決を図る上で有効ではありません。
以上に挙げた社会的影響・心的外傷・精神疾患といった家庭内暴力の原因となりうる3つの要素をご紹介します。

■子どもをとりまく社会的影響
・都市化社会における対人関係の疎遠
・両親の離婚・共働き・転勤などによる家族間の感情的交流の希薄化
・インターネット・スマートフォンの普及による過剰刺激・暴力シーンへのアクセスの簡易化
・受験競争や立身出世志向
など、社会的な影響が要因となり家庭内暴力へと結びつくことがあります。

■DVやいじめ、事故などの経験による心的外傷
・親に虐待された
・学校でいじめられた
・事故に遭った
・進学に失敗した
というような経験を通して得た親への反抗・復讐心、恐怖心、挫折感などの感情が家庭内暴力へとつながってしまうことがあります。

■精神疾患や発達障害の二次障害
家庭内暴力は統合失調症、強迫性障害、精神遅滞、広汎性発達障害、多動性障害などさまざまな精神疾患が背景にあることが少なくありません。
次にそれらの中でも主な例を紹介します。

【家庭内暴力と二次障害ー精神疾患や発達障害との関連】
■行為障害(素行障害)の一種である「家庭限局性行為障害」
行為障害・素行障害(Conduct Disorder)とは別名「素行症」と呼ばれる精神疾患であり、社会で決められたルールを守らず反抗的な行動を起こし続けてしまうという特徴があります。
具体的な症状には人や物への暴力的な攻撃、窃盗や長期・複数回の家出などが挙げられます。
国際連盟の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類である『ICD-10』により定められた行為障害の中でも「家庭限局性行為障害」の症状は家庭内暴力に対応しています。
家庭限局性行為障害とは家族が精神的に追い込まれ疲弊してしまうほどの激しい家庭内暴力をおこしてしまう疾患です。
この暴力的な行動は家庭内だけでみられ、学校生活や友人間では問題なくうまくやっていくことができることも特徴です。
家庭限局性行為障害がある場合、精神科医への相談をおすすめします。

■ADHDの二次障害として現れる「反抗挑戦性障害」
家庭内暴力は発達障害の二次障害として発症する場合もあります。
発達障害が背景にあり、失敗経験を重ねて子どもが自信を失ったり落ち込んでしまったりした結果現れる二次的な情緒・行動の問題を二次障害といいます。
二次障害は周囲への反抗や家庭内暴力、非行など問題行動が外に出るタイプと、うつや対人恐怖、引きこもりなど内面に向かうタイプがあります。

二次障害の中でも、反抗挑戦性障害(ODD)は、別名「反抗挑戦症」とも呼ばれ、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかける、暴言を吐くなどの挑戦的な行動をおこしてしまう疾患です。
反抗挑戦性障害とADHDは強い関わりがあるといわれており、年齢を重ねるとともに合併する可能性が高くなると言われています。
そのような場合、元々ADHDがある人が“人間不信的行動”という二次障害として反抗挑戦性障害を発症する場合が多いです。

人間不信的行動とは、自尊心・自己肯定感が低下して自分はダメな人間かも知れないと思い、そんな自分のことを誰も理解してくれないという気持ちから、周囲の人を信じられなくなったときに起こしてしまう行動のことを指します。
この反抗挑戦性障害を発症している場合も、精神科・心療内科の専門医への相談をおすすめします。

【家庭内暴力を行う子どもの心理】
思春期の子どもが家庭内暴力をふるう理由のひとつとして、感情の抑制が効かなくなってしまうことが考えられます。
イライラや不安、悲しみ、憎しみなどといったネガティブな感情が湧き出てきて、それを抑えることができなくなったとき、感情の鬱積(うっせき)が暴力となって現れるのです。

家庭内暴力をふるう子どもの心理としては、だめな自分のやりきれなさを暴れることによって発散しようという気持ちと、そのような自分をつくった親に対する反抗という、二つの側面があります。

ほとんどの場合、外でおとなしくて家族にだけ暴力をふるう子どもは、「暴力が悪いことだ」とは自分でも理解しています。
なので、「本当は暴力をふるいたくない。でもやってしまう」という罪悪感に苦しんでしまうことも珍しくありません。
暴力行為をどんなに繰り返してもモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからなのです。
暴力をふるうことで自らも傷つき、暴力をふるう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環に苦しんでいる場合があるのです。

【家庭内暴力の解決を目指すうえで親が持つべき心構え】
家庭内暴力は様々な偶然などにより、どんな家族にも起こりえます。
だからこそ、暴力が起こってしまったときや、起こりそうになったときの対応策が重要となります。
以下に、家庭内暴力の根本的な解決を目指すうえで重要となるであろう、5つの「心構え」を紹介します。

■5つの心構え
1. 現実逃避をしない
2. 過去の話はしない
3. いたずらに悲観しない
4. 「特効薬」を求めない
5. 「リスクのない解決策はない」ことを知る

これらのポイントをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 現実逃避をしない
子どもが家庭内暴力をふるう前段階として、ひきこもりがちになるケースがあります。
そうやって子どもがつまずいてひきこもり始めたときや暴力をふるい始めたときに、根拠のない楽観論にすがって、子どものひきこもりを放置したり、子どもの暴力を受容したりしてしまうのは、解決を目指すうえでは得策でないといえます。
状況を受け入れてしまうのではなく、問題の根源と向き合う努力が必要となるでしょう。

2. 過去の話はしない
子どもが暴力をふるう原因を過去に探ろうとして、自分を責めてしまう傾向にある親御さんも少なくありませんが、「過去の話をしない」というのも重要な心構えです。
なぜなら、過去に起きてしまったことは、誰にもコントロールできないことだからです。
「親も子も不完全なんだ」と受け入れ、未来のために今できることに目を向けることが重要といえます。

3. いたずらに悲観しない
暴力は、子どもにとっての「正当防衛」ということができるかもしれません。
なぜなら、暴力は子どもが求めているものを伝えるための、自己主張の一つの手段といえるからです。
意外かもしれませんが、実は、暴力もふるわずおとなしく何年もひきこもってしまうほうが解決は困難ともいわれています。
子どもが自己表現の一部として暴力をふるっていることを良い機会と捉え、暴力の裏にある主張に向き合っていくことは、問題の解決に結びつく姿勢であるといえます。

4. 「特効薬」を求めない
家庭内暴力が瞬時におさまり、問題を根本から解決できる「特効薬」は残念ながら存在しません。
子どもの隔離などの方法による、表面的・一時的な解決であれば短期間でも可能ですが、それはまだ根本的な解決とはいえません。
子どもの不安や親子関係自体を解決するのには時間がかかるという覚悟を持つことは、解決を目指すうえで重要な心構えとなるでしょう。

5. 「リスクのない解決策はない」ことを知る
どのような解決策にもリスクというのは存在します。
外に連れ出してみる、外部の機関に相談してみるなど、リスクを恐れて実行を躊躇するばかりでは、現状を打開する機会を失ってしまうことになりかねません。
なにより親にとって最大のリスクは、家庭内暴力が長期化してしまうことのはずです。
リスクのない解決策はないのだと知ることは、勇気を持って解決策を打つための助けとなるはずです。

【家庭内暴力に悩んだ時の相談先】
家庭内暴力は、複雑かつ対応を誤るとエスカレートしやすい傾向にあるため、家庭内で抱えこんで暴力の現場を密室化させてしまうのではなく、外に助けを求めることも重要です。
家庭内暴力にお困りの場合、以下のような機関・施設が相談先となります。

■児童相談所
「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。

■全国精神保健福祉センター
各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている窓口であり、精神保健福祉に関する相談をすることができます。
相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。

■精神科・心療内科
心の症状、心の病気を扱う科です。
心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。
心療内科は心と体の不調だけではなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。

■警察
エスカレートする暴力行為を前に、身の危険を感じた場合は警察に相談することをおすすめします。
警察に通報することで子どもの復讐心を煽ってしまう可能性がないとはいえませんが、自分の身を守るためには毅然とした態度で通報する勇気も必要となるでしょう。

【最後に】
家庭内暴力とは子が親に向けて行う暴力的行為(暴言や物の破壊も含む)を指し、暴力は家庭内限定で行われます。
比較的おとなしい子どもが、ある時点を境に始めるケースが多く報告されており、突然の息子・娘の変化に驚き、苦悩する親御さんは多くいます。
家庭内暴力の原因はとても複雑で、必ずしも親の教育やしつけが原因というわけではありません。
社会的な影響や過去のトラウマ、精神疾患が原因であることも多いのです。
そうした事実を踏まえ、ときに家庭外の第三者の協力も得ながら、対話による意思疎通をベースに解決を目指していくという方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。
投稿日:2018-08-28
返信 3
若者教育支援センターさん
えみさんへ削除
「家庭内暴力の対処法②」

まず家庭内暴力の原因としては「子供返り=退行」が挙げられます。

子どもは親を自分の持ち物だと思い込み自分の言いなりにならないと爆発してしまう状態になります。
その場合、いくらおかしなことを言って来ても、またいくら忙しくても手を止めて子供の横に座りうなずきを忘れずじっくり話しを聴いて悪かったと思うことは素直に謝ることが大切です。

30分もあれば暴言は止まり翌日には何事もなかったかのようにケロッとしています。
親がいい加減に聞いていると子供の暴言は2~3時間続き、しまいには怒りがおさまらず夜中、親の寝室に来て朝まで暴言を聞かされたり、翌日も何時間も暴言を聞かされることになり、それがエスカレートして家庭内暴力へと繋がるのです。

子どもは話しているうちに大声になります。
その声が耳に入り余計に興奮してしまうのです。

また子供の言葉に反論してしまうと余計に子どもを怒らせることになります。

この退行を抑えれば、家庭内暴力に繋がりません。

それには身体接触は止めさせることです。
そのためには、「止めなさい」「イヤだ」とはっきりと言うことです。

また、家庭内暴力は家庭でしか起こりません。
家庭内暴力を起こす子どもは、学校や近所など第三者の前ではまったくそう言う面は見せずいい子であるケースが多いです。
したがって家に誰かを下宿させるという方法も考えられます。

また実際に暴力を振るわれた場合は100%拒否する姿勢を示すことが最も重要です。
暴力に対して暴力で対抗すると必ず復讐されます。暴力は暴力の連鎖を生むだけなのです。

前述の対処が無理な場合は親(ほとんど母親)が別の場所に避難することも検討してみてください。
その際は、子どもには必ずメッセージを残すことも忘れずに。
「○○くんのことは大切だけど暴力には耐えられないので家を出ます。母より」というメッセージで良いと思います。

そうすると、直後に子どもから電話が来るが携帯には出ないようにしてください。
出ても「テメー、どこ行ってんだ。必ず見つけ出してぶっ殺すぞ」と言われるのがオチです。

2~3日後に携帯やメールに「ごめんなさい」というメッセージが子どもから来ます。
時間を置くと子どもは後悔し反省するので「帰って来て」という電話が頻繁に入ります。

その段階で子どもとは毎日5分くらいは電話で話しをして2週間ほどしてから食事を作りに家に帰ります。
ただし食事を作ったらまた家を離れる。
子どもは母親の食事を食べて母のありがたみを改めて感じるのです。

また母親が離れることで「母親は本気だ」と言うことを子どもは感じ「今度、暴力を振るえば母親は二度と帰ってこない」と思うようになります。

1ヶ月で十分効果はありますが、一生の問題なので、出来れば2ヶ月の期間を考えた方が良いでしょう。

そして子どもに二度と暴力を振るわないと約束させることも必要です。
これで家庭内暴力は収まり再発することはないはずです。

ただし子どもが謝ったからと言ってすぐに戻ってしまうと「どうせ暴力を振るってもまた謝れば戻ってくる」と言う思いが植えつけられてしまう危険性もありますのでご注意ください。

投稿日:2018-08-28
返信 4
若者教育支援センターさん
えみさんへ削除
「家庭内暴力への対処法③」

家庭内暴力は放置すると殺傷事件にまで発展しかねない危険な側面を持っています。
しかし、適切に対応すれば、そのほとんどは解決することが可能です。
家庭内暴力そのものは診断名ではありません。不登校などと同様、ひとつの状態をあらわす言葉です。
それが常に病的なものとは言えませんが、もちろん中には病理性の高いものも含まれています。
ここで述べる家庭内暴力は精神病、すなわち幻覚や妄想などをともなわないもので、治療的対応によって解決が可能なものを指しています。

些細なこと、時には理由もなしに突発する暴力は、家庭の雰囲気を荒涼とさせずにはおきません。
家じゅうを不自然でこわばった沈黙が支配し、家族は本人のちょっとした表情、しぐさにもおびえながら生活する日々を強いられます。
とりわけ母親が暴力を受けやすく、まるで奴隷同然の扱いを何年も受け続けていることがしばしばあります。
誇張ではなく二十四時間、べったりと密着した生活が続き、ゆっくり眠る時間すら奪われてしまいます。
真夜中に叩き起こされ、本人が唐突に思い出した昔の恨みつらみを何時間でも延々と聞かされます。
それでも「母親の相槌が気に入らない」といったことから、理不尽な暴力がはじまります。

家庭内暴力の底にある感情は「悲しみ」です。単純な攻撃性なら、たしかに「気が済む」こともあるでしょう。しかし家庭内暴力は、そのような爽快感とは一切無縁です。暴力を振るうことでみずからも傷つき、暴力を振るう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環があるだけです。

家庭内暴力への基本方針は、「暴力の拒否」です。専門家の中には、子供からの暴力は甘んじて受けなさい、といったアドヴァイスをする人もいます。
気が済めばおさまるし、親は暴力を振るわれるだけのことを子どもにしてきたんだから、というのが、その理由のようです。
しかし臨床の現場にたちかえるなら、こうした対応は単純に間違いです。間違っているだけではなく、時には暴力を助長してしまいます。
「進んで暴力に身をさらす」などという行為は、危険な挑発にほかならないからです。

「拒否」といっても、もちろんそれは暴力との「対決」を意味していません。
「対決」もまた、暴力を助長するだけだからです。暴力の拒否とは「暴力を押さえ込むための暴力」をも拒否するということです。
力で家庭内暴力を制圧する試みは、ほとんど確実に失敗します。
暴力は暴力の連鎖しか生み出すことはありません。

また、すぐに入院治療をと焦るのも禁物です。
家庭内暴力の入院治療は、本人が納得した場合にのみ有効ですが、強制的な入院(とくに安易になされる医療保護入院)はほとんどすべての場合失敗します。
家庭内暴力のケースは、強制的に入院させてしまうと、病院内ではまったく「良い子」として振る舞います。
診断のしようもなく、なんの問題行動を起こさない患者さんの行動制限は法的に不可能で、せいぜい長くて一ヶ月程度で退院になるでしょう。
こうして家族への恨みをつのらせながら帰宅した本人が、以前にも増して激しい暴力を振るいはじめるのは時間の問題です。

家庭内暴力について、その重症度、あるいは難しさを決めるのは、暴力の内容ではありません。
むしろ問題となるのは「暴力の続いている期間」ということになります。
かなり激しい暴力であっても、まだはじまって数週間なら、対処は比較的容易です。
しかしそれほど激しさはなくても、何年も続いている慢性的な暴力では、かなり対応が難しくなります。
ここでは大きく分けて、比較的対応しやすい「初期の暴力」と、長期化し、こじれた「慢性的暴力」の二つについて、その対応方法を具体的に述べてみましょう。

どのような対応をするにせよ、まず暴力の背景を十分に理解しておくことはどうしても必要です。
客観的な事実はどうあれ、本人の中では、これまでの人生が惨憺たるものだったとの思いが強くあります。
受験に失敗したこと、自分の容貌のこと、恋人や友人が出来なかったこと、望んだ会社に入れなかったことなど、本人はみずからのこれまでの歴史を、あたかも失敗の連続のように捉えているはずです。
彼らが辛うじて自殺の誘惑に陥らずに済んでいるのは、まさに「失敗」を他人のせいにすることによってです。

しかし本人は必ずしも「自分がこうなったのは親のせい」であると確信しきっているわけではない。
家庭内暴力のケースを治療してゆくなかで、ほとんどすべてのひとが「自分は親に迷惑をかけ続けてきた、ダメな人間である」と告白します。
これもまた、彼らの本心なのです。
このように彼らは自責と他責の間で引き裂かれ、心やすらぐことのない日々を過ごしています。
精神分析家の神田橋條治氏が指摘するように、家庭内暴力の背後にある感情は、「憎しみ」ではなく「悲しみ」なのです。

初期の家庭内暴力を沈静化するためには、まず「刺激しないこと」です。
簡単なようで、これは意外に難しい。
これを確実に成功させるには、本人にとってどんなことが刺激になりうるかを正確に知っておく必要があります。
皮肉や嫌み、あるいは本人を傷つけるような冗談を口にしていませんか?
ついつい決めつけるような、断定的な話し方をしていませんか?
こうしたことも悪い刺激になり得ます。

暴力をふるわずにはいられないほどの「悲しみ」が、どのように起こってきたか。
本人の劣等感を刺激せず、「恥をかかせない」ためには、何に気をつけるべきか。
それを知るためには、ひきこもりとも共通する彼らの葛藤のありようを共感的に理解するところからはじめなければなりません。
そして、ごく初期の家庭内暴力であれば、このような理解とコミュニケーションが十分になされるだけで、きれいに解消することもあるのです。

本人の訴えてくる過去のうらみつらみについては、十分に耳を傾けて下さい。
暴力は完全に拒否して良いのですが、言葉による訴えはそのぶん、しっかりと受容する必要があるからです。
ただし、「耳を傾ける」ことと「いいなりになる」こととは違います。
本人の恨みを言葉として十分に聞き取ること、同時にその言葉に振り回されないことが大切です。
場合によっては、こうして話し合う姿勢をみせるだけで、暴力が沈静化することもあります。

それではさらに重症の、長期にわたって続いている暴力についてはどうでしょうか。
こちらはいうまでもなく、対応が格段に難しくなります。
慢性化に至っている場合、小手先の対応を変える程度では、びくともしないことが多いからです。
いや、それ以前に、対応を変えることすら難しくなっている。
親がそれこそ、蛇に見込まれた蛙のようにすくんでしまい、身動きがとれない状況におかれてしまうのです。
これほどこじれたケースに対してどのような解決策がありうるでしょうか。

比較的穏当な方法として考えられるのは、他人を介在させることです。
これはもちろん、誰かに暴力の仲裁役を頼むということではありません。
そうではなくて、ただ家庭の中に他人が入ってくるというだけでよいのです。
母親へ激しい暴力をふるっていた息子が、妹の婚約者が同居するようになってから、ぴったりと暴力をふるわなくなったというケースを経験したことがあります。
もちろん本人は、他人が入り込むことをひどく嫌うのですが、いったん受け入れてしまうと、それが暴力を鎮めるきっかけになりやすいのです。

ここでいう「他人」には、「警察」も含まれます。
暴力の程度によっては、もちろん警察への通報も考えるべきです。
ただしこれは、「警察が何とかしてくれる」からではありません。
家庭内暴力の場合、家族が通報して警察官が駆けつけてみると、暴力はすっかりおさまっていることがほとんどです。

ご存じの通り警察は、現行犯でもない本人に対して、せいぜい説諭するくらいしか出来ません。
しかし、それでいいのです。
要は「家族は場合によっては警察に通報するほどの覚悟が出来ている」ということが理解されればいい。
「そんなことをしたら、後の仕返しがこわい」と考えて踏みきれない家族も多いのですが、これは家族の態度いけないのです。
通報すべき時は断固として通報し、それを繰り返すこと。
このような毅然とした態度があれば、「仕返し」のおそれはほとんどないといえます。

もう一つ、暴力の拒否のための選択肢として「家族の避難」が挙げられます。
暴力と対決せずに、暴力を拒否するためには、暴力の場面から避難すること。
もちろん家族には多大な負担となるでしょうが、適切に行えば、かなり確実な効果が期待出来ます。
その具体的な方法について述べる前に、次のことは確認しておかねばなりません。これらの方法は、効果も大きいぶんだけ、リスクも伴います。
またタイミングを誤れば、失敗する可能性も十分にあります。
したがって、治療としての「避難」を実践する場合には、専門家と連携することが必要となります。

繰り返し強調しておきますが、避難が有効であるのは、あくまでもそれが適切になされた場合のみです。
くれぐれも「ただ逃げればいい」という短絡的な理解はしないでください。

以下に避難のポイントを整理しておきますので、参考にしてみて下さい。
*治療者と両親の間で、避難の方針と方法について十分に打ち合わせをする
*大きな暴力をきっかけにして避難する(きっかけなしに避難することはむしろ危険)
*怪我をしたような場合、しょうしょう大げさでも入院した方が良い
*避難は必ず、暴力のあった当日のうちに完了する
*当日中に、必ず親から本人に電話を入れる
*電話では「これから定期的に連絡する、生活の心配はいらない、いずれは帰るがいつになるかは判らない、どこにいるかも教えられない、暴力が完全におさまるまでは帰らない」と伝える
*この方針は本人の治療のために専門家と相談し、家族全員の同意を得て決めたことを伝える
*その後は定期的に電話を入れ、必ず五分間だけ話す。時間が来たら途中でも切る
*本人が落ちついたタイミング見計らって、一時的な帰宅や外泊を繰り返す
*外泊時の様子で、特に暴力もなく、また母親と穏やかに会話できる状態で安定したら、帰宅する
*以上のことを、専門家との密接な連携のもとで行う
*親の側は、暴力や脅しに屈せず、誠実で毅然とした態度でことに当たる
*帰宅までに要する期間はさまざまであるが、軽いものであれば一カ月程度でも十分に有効であり、長くても半年ほどで帰宅できることが多い。

以上、参考にしてください。

投稿日:2018-08-28
返信・コメントはこちら
削除用パスワード(同じものを2回入力してください)

掲示板トップに戻る