「過度の一般化/overgeneralization」」
たった一つでも良くないことがあると、世の中すべてそうだと考えてしまう。
これを心理学では「過度の一般化/overgeneralization」と言います。
例えば、あるオフィスでの風景を思い浮かべてみましょう。
外出先から帰って来た上司が
「最近の若い者はまったくなってない!」と何か怒っていたとします。
聴けば、電車の中で若いビジネスマンがシルバーシートに座り
お年寄りが目の前に立っているにも関わらず
ぺちゃくちゃとおしゃべりに夢中になっていて席を譲らなかったとのこと。
その光景を見て
「けしからん!」
→「どんな奴だ」
→「若者じゃないか!」
→「最近の若いやつはダメ」
という論法が頭に浮かんだのでしょう。
でも「若者=ダメ」と考えるのは短絡的過ぎます。
確かに、目の前にお年寄りが立っているのに、
席を譲らないのは、マナー違反ではありますが、
若者すべてがそうだとは言い切れません。
このような例は他にもあります。
「大阪人=面白い人」
「A型=几帳面」
「太っている=優しい」
「役人=お堅い」……etc
そして、あるタレントさんの野球部出身者に対する辛口発言が
ネット上で話題になったことも記憶に新しいところです。
これらは割合的には多いのかもしれませんが、
全部(100%)ではありません。
過去の数少ない経験だけで100%こうだと決め付けて
一切、受け入れる姿勢をとらないでいると視野を狭めてしまいます。
「あの人は○○だから△△だ!」
これではその人の世界は拡がりを持ちません。
もっと柔軟に考えていなかいと交流関係の輪は狭まる一方です。
以前、こんな相談者(女性)がいました。
「○○大学出身の男は最低です」と。
少し前に交際していた○○大学出身の男性から
ひどい別れ方をされて、それでそう思ってしまっているのだそうです。
それ以来、付き合う男性はまず出身大学を聞いてからとのこと。
○○大学出身の男性はすべて拒否という姿勢は
出会いのチャンスを狭めていることになります。
突き詰めていけば、「男性はみんな最低」となってしまいます。
これでは、まったく出会いは見込めませんよね。
人は誰しも個性があります。
同じ人間などはひとりもいません。
一人ひとりに違いがあるから人間関係は面白いのです。
その人を取り巻く環境や過去や経歴などではなく
その人個人をいかに見ることができるか。
このような視点や考え方が大切なのではないでしょうか。
ただし!
先述のオフィスで怒っていた上司!
「なぜ、あなたはその若者を注意しなかったのですか?」
という突っ込みは忘れてはなりません。
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わたしが両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴はわたしのように、たくさんなうたは知らないよ。
鈴と、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。
(金子みすず)
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