気づいていただきたいので、投稿のところから失礼いたします。
俺の手首には、今でもはっきりとわかる大きな傷痕が残っています。
学校を追われ、家族に捨てられ、仲間たちもいなくなった…。
何もかも失った十六歳の俺は、泣くことしかできなかった。泣いてばかりいる不良少年は、まるでどしゃぶりのなかでガタガタ震える犬ころだった。
そのとき、俺は死のうと思ったんです。
「もう…生きていてもしょうがない。生きていて、この先俺に何があるんだ?何もないじゃないか。もう何も見えない…」
そして、手首をナイフで切りつけた。
「これでもうだれも哀しまなくてすむ。そして俺も…」
小さな安堵を感じたことを、今でも覚えています。
そのあと、俺は酒を浴びるように飲んで寝ました。もう、再び目を覚ますことはないだろうと思って。
なのに…。気がついたとき、俺は病院のベッドの上にいました。精一杯の勇気をふりしぼったのに、結局、俺は死ねなかった。
俺は好きで生まれてきたんじゃない。親が勝手にセックスして、勝手に子どもをつくって、勝手に離婚して、そして勝手に人にあげて…。だったら、死ぬときぐらい俺が選ぶ。俺が決める、そう思ったんです。
みんなのなかにも、死は自分で選ぶと思っている人がいるかもしれない。いや、選んじゃいけないんだ。
そして、俺はあのとき、ひとつの決めごとをしました。
「あと十六年だけ生きてみよう」と。
思えば、何もかも失ってしまうまでの十六年間は、哀しみと破壊と後悔だらけの歴史でした。ならば、それまで生を重ねてきた同じ年数をせめて生きてみよう。
これからの十六年間は、出逢う人を大切にしながら、泥まみれになっても、前だけを目指して生きてみよう。
俺は、自ら命を絶とうとしたことも、不慮の事故で死にかけたこともある。だから、簡単になど言えない。
でも、だからこそ精一杯の想いを込めて、あなたに届けたい。
生きよう!
生き抜こう!
この混沌とした時代を、泥だらけになっても、はいつくばってでも生き抜こう!
あなたに死なれたら、俺は哀しい。この国から、またひとつ希望の灯火が消えてしまうかと思うと、身を引き裂かれるほど哀しい。
みんなは、俺の夢であり、希望なんだ。俺が死にそうになっていたときに恩師の安達先生がいってくれた言葉。それをそのまま、あなたに伝えます。
あなたは俺の夢です。
大切な夢のひとりです。
どうか死なないでいてほしい。
俺もいっしょに生きる。だから、あなたもともに生きていこう。
俺たちは哀しむために生まれてきたんじゃない。俺たちは幸せになるために生まれてきたんだ。だから、幸せになるために、今できる精一杯を積み重ねていこう。その積み重ねの先で、あなたが笑顔を取り戻してくれることを願っています。希望の光を感じられることを願っています。
そのときは、今の苦しみが、今日のためにあったのだと、きっと思えるから。その日を信じて、ともに生きていこう。