「母子一体感」と「離別感」
「母子一体感」と言うのは字のごとく、
子どもが母親に対して持っている思いです。
お母さんはボク(私)の事を解っていてくれている
…と言う様な、「自分の感情を他人が理解してくれて当たり前だ」と言う甘えの感情を相手にもつ事です。
夫婦で言うと、
「私の事、解ってくれて当然なのに、なんで解ってくれないの。解ってよ!!
私はこれをやって欲しいのよ!!(私のこの気持ちに気付いて欲しいのよ!!)
でも、全く気づかないわ。イライラ、イライラ。」
言わずに解ってくれって、思った事は、きっと誰しもあると思います。
それは夫婦に限らず、親しい友人や親子なら、解っているよね?と言う思いもそうです。
また、「離別感」と言うのは人と人は違う考えを持った生き物であると言う考え方です。
それぞれが違う人間であると言う事を理解している、と言う事。
この離別感を持っていない人は
「私の事、解ってくれて当然なのに、この人は解っていない」
と怒ったり、悲しく思ったりします。
それは「親しき中にも礼儀あり」と言う言葉の通り、
相手と自分との間にパーソナルスペースがある様に、
お互いが一線を引いてのおつきあいが出来ないのです。
要するに、心が子どもと同じなのです。
更に言えば、心が成長していないと言う事です。
相手を尊重し、自分と考えがちがって当然だと思えれば、
自分の思いと違う行動を相手がとってもイラッとしたり、悲しくなったりはしないはずです。
例えば、
ママ友が向こうからやって来た際に
「おはよ~」と、いつもの用にご挨拶をしたのに、
彼女はそのまま私のそばを難しい顔をして通り過ぎてしまった。
そんな時、あなたはどう思いますか??
『あらっ?今日はご機嫌斜めかしら?』で、通り過ぎるのが離別感を持った人。
しかし!
「え?なに?なんなの?今の、スルーされたわ!
私、なにかした??あの人に!!なんか悪い事、言ったかしら??」
そう思って、ドキドキしながら一日中、掃除をしてもお料理をしていても、
自分が彼女に何か悪い事を言ったり、したりしたかもしれない事を過剰に探し始めます。
でも、思い当たらないので不安になって来ます。
「母子一体感」を持ち過ぎて、日常を過ごしている人は常にこの不安にさらされます。
一日が、こんな事で埋まってしまうなんて、もったいないですよね?
☆人と自分は違う人間なのだから考えがちがって当然☆
☆違う意見はなぜ、そこから生まれてくるのか?☆
☆自分の意見は甘えから来るものではないのか?☆
結局、後日そのママ友に聞いてみると、
「えっ、そんなことあった。ごめんね。考えごとしていたのかも…」
と、取るに足らない理由だったりすることは多々あります。
それぞれオトナの対応をして行く事が「離別感」を持って生きると言う事です。
この「離別感」のお話を伝えるとこう返してくる方が時々います。
「そんな対応をして、自分の周りからみんな居なくなっちゃったら不安で…」
「私は子どもの頃、親に甘えさせてもらえなかったから…」
…いろいろご意見もあろうかと思います。
でも、本当にそうでしょうか?
親に甘えられなくても、他に手を差し伸べてくれた人が、誰も居ない人生だったでしょうか?
誰も、私の事を解ってくれないと、思っているならば、あなたは相手のどれだけの事を解っているでしょう?
きっと、一つ相手のいい所を探したら、たくさん出て来ますよ。
そうしたら、感謝の気持ちで満たされる事でしょう。
まず、相手から愛される事を望むのではなく、自分から愛する事をして行くと
きっと、「離別感」と言う事が解ってくると思います。
そして、もし、どうしても相手の事を嫌いならば、自分の事を好かれる必要なんてないです。
オトナとして、一歩引いていればいいのではないでしょうか。
もしくは、相手と正面から向き合い対峙してもいいのではないでしょうか。
自分一人で生きていたら、誰かが必ず声をかけてくれます。
一人で凛として生きていたら、あなたは輝いているので誰かが必ず見つけてくれるのです。
子育ても、この「離別感」が大切です。
いつもべったりとすることが決して良いというわけではありません。
「親」という字は「木」の上に「立って」「見る」と書きます。
通常は高い位置から子どもを俯瞰して見ていて、
いざという時・子どもが求めている時だけ木から降りて、そっと背中を押してあげる。
そんな存在でありたいですよね。
そのくらいの気持ちの方が子育てをゆったりした気持ちで楽しめます。
そして、究極は「自分が自分を好きになること」
だって、生まれてから死ぬまで、一番長く付き合っているのが「自分」なのですから。
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【今回の名言】
『ゲシュタルトの祈り』
私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ。
(フレデリック・S・パールズ/ドイツの精神学者)
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