「赤いカラス」
ある少年がいました。小学校の1年生。
クリクリ坊主頭でおまけに目もクリクリとして可愛らしい。
その少年、他のお友達とはちょっと違う感性の持ち主。
ある授業での事でした。
授業のテーマは「笠地蔵の話し」を読んでの感想です。
先生:「おじいさんに笠をもらったお地蔵さんはどんな言葉をおじいさんに言ったのかな?」
生徒全員が勢いよく挙手!そして、その少年が当てられました。
少年:「もっときつく結んでください」
先生:「……(無言)。えーっと、他に答えられる人いますか。」と言って他の生徒を当てました。
他の生徒:「『ありがとう』って言いました。」
先生:「正解です。」
確かに「ありがとう」は正解です。
でも少年の答えだって間違っていないのです。
その晩は雪が降って風も強かった。
だからお地蔵さんはおじいさんに向かって、
笠が風で飛ばされないように「もっときつく結んでください」と言ったのです。
別の授業の話し。
この少年が図画の授業でカラスを描きました。
しかし「赤いカラス」を。
それを見た先生は有無も言わさずに
カラスを黒に塗り替えてしまったとのことです。
「○○くん、カラスの色は黒で描かなきゃダメでしょ~」と。
少年は家に帰って母親の前でワンワン泣いたらしいです。
せっかく描いた絵を先生に勝手に塗り替えられてしまったことがショックだったそうです。
母親がよくよく聴いてみると…。
少年は昨日の夕方の光景を思い浮かべて絵を描いたらしいのです。
夕方、空を見ていたら夕日に染まるカラスが飛んでいた。
だからカラスが赤く見えたのです。
少年は自分のことを「否定された」と思ったのでしょう。
笠地蔵の時だって「無視された」と思ったはずです。
こんな大人によって、こうした少年のピュアな心は「普通」になってしまうのでしょう。
全員が同じ答えでないとダメな教育。
だから今の若者は周囲と同じじゃないと不安になるのです。
そのような社会では発達した文明は望めないのではないでしょうか?
それは歴史が証明しています。
文明や歴史を進歩させるためには「変わり者」が必要なのです。
ガリレオ、アインシュタイン、エジソン、ニュートン、坂本竜馬…etc。
皆、「変わり者」と言われていました。
いや、むしろ彼らを「変わり者」と呼んでいた人たちの方が
実は「変わり者」なのかもしれません。
学校の理科の授業では「氷が溶けたら」の答えは「水(H2O)」です。
でもこの少年はこう答えました。
氷が溶けたら……「春になる」
答えはひとつではありません。
他人と違っていいのです。
そのことを我々大人は子どもたちに教えてあげなければならないのではないでしょうか。
「教育(education)」の語源は、ラテン語の「educare(エデュカーレ)」だそうです。
その意味は「引き出す」です。
子ども一人ひとりの個性や潜在的な能力、可能性を引き出すこと。
これこそが教育の原点だと感じてなりません。
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【今回の名言】
知性+個性、それが真の教育のゴールだ
キング牧師
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