<<<彼side
君に恋して、
痛くなる
毎日生きて、
痛くなる
どちらも酷く辛いものだけど
君に恋する痛みなら、いつだって耐えられる
<<<彼女side
君に恋はできない
こんな私でいいものか
閉ざした気持ちに何がわかるものか
そう語るのになぜか痛い
表面を取り繕ったって気持ちは溢れ出す
君に恋する痛みは、もう限界なんだ
いっそのこと、今、終わってしまえばよかったのに
<<<彼side
不規則で大きい音は自分が取り繕うのを止めてくる
もう少し静かにしてよ
そうしないとバレてしまう
笑う君の顔が、嫌いだよ
もう会いたくないんだよ
ごめんね、歪んだ人間でさ
突き放せばいいだろ?
そうすれば、もう負荷をかけないで済むだろう?
このままだともう耐えられなくなってしまうんだ
さ よ な ら ?
、
<<<彼女side
脳から信号が送られてくるんだ
何か悪い予感がするって
呑気に林檎を齧って
完食して
君に会いにいった
今日の君は、いつもと違ったんだ
笑う君の顔が好きなのに
もっと一緒にいたいのに
ごめんね、弱い人間でさ
歩み寄ればいいよね?
そうすれば、君は振り向いてくれる?
このままだともうさようならになってしまう気がする
震える指でインターホンを2回押す
躊躇いの感じられる表情で偽りの笑顔を貼り付けて出てきた
もう、痛くない
なんでだろう
痛くない、痛くない、ただ締め付けられる
それは恋より辛い
<<<彼side
君に恋してるって、分かってた
だからこんなにも痛いんだって、分かってた
でももう終わりなんだって、分かってた
君は自分の汚さに、醜さに、気づいてくれた
だから、もうお別れだよ
<<<<<<<彼女side
何も分かっていない、
まだ一緒にいたい、
もっと笑ってほしい
赤い林檎を差し出せば、
彼は少し笑ってそれを齧った
そして全てなくなった
これで、これで一緒だね