お釈迦様の教えにこんな説話があります。
あるところに毎日、毎日重荷を満載した荷車を朝から晩まで引かねばならない牛がいた。
その牛はつくづく思った。
「なぜこの俺は毎日、毎日こんなに苦しまなければならないのか!
いったいこの俺を苦しめているものは何なのか!
そうだ!
俺を苦しめているのは間違いなくこの荷車だ!
この荷車さえなければ俺はこんなに苦しまなくてもよいのだ!」…と。
そしてその牛は荷車を壊そうと猛然と道端にある岩に突進して
木っ端微塵に荷車を壊してしまった。
今まで牛を苦しめていた荷車はなくなり快適な気分もつかの間…。
それを知った飼い主は…
「こんな乱暴な牛にはよほど頑丈な荷車でなければまた壊されてしまう」
…そう思い今までの何十倍も重い鋼鉄製の荷車を造ってきた。
そしてその鋼鉄製の荷車に荷物を満載して今までのように毎日、毎日その牛に荷車を引かせた。
以前の何十倍もの苦しみを課せられた牛は再び荷車を壊すことも出来ず深く深く後悔した。
…これはある本で紹介されていた釈迦の説話です。
釈迦は言います。
「自らの命を絶てば、もっと恐ろしい苦しみの世界へ入っていかなければならない。
この世で苦しんだまま死ねば、必ず死んだ後の世界も苦しみは待っている。
あの世で幸せになりたければ、この世から幸せの身にならなければならない」…と。