人には「現実の自分」と「理想の自分」があります。
この2つの間の距離が長ければ長いほど悩みは深いものになるのです。
イメージとしては…
「現実の自分」←――――――――→「理想の自分」
「理想の自分」を基準にしている人は「現実の自分」との差に愕然とし自分には到底無理だ…と決め込んでしまいます。
この間の矢印が半分なら…
「現実の自分」←―――→「理想の自分」…悩みも半分となりますよね。
これは「理想の自分」を「現実の自分」に近づける方法。
「現実の自分」を基準とする人です。
言い換えれば「理想の自分」の位置を低く設定してあげることです。
要は「理想の自分」を目標に例えるなら目標を低く設定すると言うこと。
このような手法はカール・ロジャースの基本的な考えである「自己受容」へと繋がり悩みを解決する有効的な手法と言われています。
大半の悩みはこの考えをベースにカウンセリングを進めることで解消されます。
しかし、カウンセリングをしていると中にはこんなクライアントもいます。
「理想の自分を低くすることには違和感を覚えます。
目標を低くするってことは自己の成長につながりません。
むしろそのことの方こそストレスが溜まってしまいます。」
確かにおっしゃる通りかもしれません。
…しかし、このような考え方自体を修正していかないとこれから人生疲れてしまいます。
こんな方には次のような提案をしています。
「じゃ〜この2つの間の矢印はこのままの長さにしておきましょうよ。
その方がストレスも溜まりませんもんね。
でも“理想の自分”をちょっと言い方を変えてみましょう。
“理想”ではなく“憧れ”にしてみてはいかがですか?」…と。
最初は「キョトン」としているクライアントも話しを進めていくと納得してもらえて目の輝きが違ってきます。
例えば高校球児が…
「理想はイチロー選手のバッティングです。
だからバッティングフォームからイチロー選手を真似してみます」…こう言ったとします。
でもなかなか上手くいかない。
もしもバッティングフォームを多少真似出来たとしても打率(結果)が伴わない。
結果が伴わないと今の自分とイチロー選手を比べてレベルの低さに愕然とする。
これは当然!
イチロー選手だってメジャー選手になり世界的な記録を残すのに何年も掛かっているのです。
そもそも高校球児がメジャーリーガーであるイチロー選手と比べること自体がナンセンス。
高校球児とメジャーリーガーで例えると笑ってしまうくらい当たり前のことだし理解できます。
でも心に悩みを持つ人は「現実の自分」と「理想の自分」の距離が分からなくなり、そのくらいの距離が離れていることに気づきもしないのです。
だからカウンセラーは「理想の自分をもう少し低めてあげましょう」と提案をするのです。
でもそれも納得いかない人には
「イチロー選手を“憧れ”という位置づけにしましょう」と提案をする。
イチロー選手が“憧れ”であればそれは本人の自由。
むしろその距離が長ければ長いほどそれに向かって頑張れるのです。
「僕のバッティングの憧れは隣町のチームの4番バッター、寿司屋のゲンさんです!」
これじゃ〜「誰だそれ!」と突っ込まれてしまいますよね。
それよりも…
「僕のバッティングの憧れはメジャーリーガーのイチロー選手です」の方がカッコいいです。
焦点は目標であるイチロー選手ではなくイチロー選手に近づこうとする自分に当たる。
なかなか近づけないで努力する自分に焦点をあてればイチロー選手との距離がどうのこうのとは考えなくなる。
このように焦点づけ(ものの見方)を少し変えてあげると悩みや苦しみはストレスの原因ではなくなり、むしろ日々頑張れる起爆剤へと転化するのです。
このようなカウンセリング手法を「ゲシュタルト療法」と言います。
「理想の自分」から「憧れの自分」へ!
自分自身が憧れの存在なんて…ちょっと素敵ではないでしょうか!