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お悩みNO.16187
若者教育支援センターさん
テレッサさんへ
家庭内暴力 対処法 【家庭内暴力とは】 ■家庭内暴力の定義 家庭内暴力は、家庭内で起きる暴力のことで、一般的に子どもが親に対して暴力をふるうことを指します。 また、同様に家庭内で起きる暴力であっても、親が子どもに暴力をふるう場合を“児童虐待”、夫が妻に暴力をふるうものを“DV”(ドメスティックバイオレンス)と呼ぶことが通例となっています。 こうした用法にならって、子どもが親に対して暴力をふるう「家庭内暴力」について解説します。 警視庁は家庭内暴力について以下のように定義しています。 少年が、同居している家族等に対して継続的に暴力を振るう事案をいい、家庭内暴力を止めようとした第三者に対して暴力を振るう事案や他人の所有物を損壊する事案については含まない。 「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」(警察庁生活安全局少年課)より引用 ここでの少年とは20歳未満の者を指しています。 つまり、家庭内暴力とは20歳未満の子どもが家族に対して行う暴力行為を意味します。 ここでいう暴力には、身体的な暴力や、暴言、家具や家財の破壊なども含まれます。 ■家庭内暴力の特徴 家庭内暴力の特徴としては以下の2つが挙げられます。 ・暴力が家庭内でのみ行われる ・暴力の対象が人である場合、暴力をふるう本人より弱い者が対象となりやすい ・・・事実、暴力の対象のうち約6割が母親であることが警視庁によって報告されています。 ■警視庁による認知件数 家庭内暴力は、1960年代から顕著に現れるようになりました。 警察庁生活安全局少年課による報告書「少年の補導及び保護の概況」によれば、平成27年度現在、家庭内暴力の認知件数は2,531件にのぼります。 また、この数字は平成18年の1294件と比べて約2倍となっており、近年も増加傾向が続いています。 実際に家庭内暴力をおこなうのは中学生がもっとも多く、次に高校生、小学生の順となっています。 さらに、性別でみると男子が圧倒的に多く、女子と比べて2~3倍多く報告されています。 同報告書によると、家庭内暴力の動機は 1番多いのが「しつけ等親の態度に反発して」(1,636件、全体の65%)、 2番目が「理由もなく」(261件、全体の10%)、 3番目が「物品の購入要求が受け入れられず」(225件、全体の9%) となっており、以降「不明」「勉強をうるさく言われて」「非行をとがめられて」といった動機が続いています。 非行をとがめられた際に反発して起こる家庭内暴力が実は意外と少なく、親の態度への反発から生まれる家庭内暴力が圧倒的に多い結果となっています。 実際、おとなしい性格で、学校での成績もよい子どもがある日を境に家庭内暴力を行うようになるケースも多く報告されています。 【家庭内暴力を引き起こしやすい子ども・家庭の特徴】 家庭内暴力をする子どもには、本人の性格や家庭環境に一定の共通点が存在するといわれており、具体的には以下のようなものが挙げられます。 ただし、様々な組み合わせがあり、また例に挙げた要因に当てはまらない場合もあります。 ■本人の性格・特徴 ・真面目、内気、おとなしい ・家庭外では他人に対して従順で、自己主張が乏しい ・神経質である ・比較的友人が少なく孤立的である ・非行に走ってはいないが、生活習慣の乱れなどがある 家庭の外において反社会的な言動をおこなう非行少年・少女とは対照的に、家庭内暴力を行うのは比較的おとなしく、学校でもあまり多くの友達を持たない子どもが多いようです。 ■家庭環境 ・母親が過干渉で父親が無関心である(もしくはその逆) ・親子分離が少なく、子どもの親への強い依存心、甘えがある 家庭内暴力が起きている家庭は、経済的に豊かで、親も教育熱心ということが少なくないようです。 そんな家庭で家庭内暴力が起きてしまうのには、中学生や高校生で挫折して、学力が低下したり、親が期待しすぎたり、干渉しすぎるなどの理由で不登校になり、親への反抗から暴力をふるうようになってしまうというパターンが多いといわれています。 また、ときには世代間の考え方の違いが意見の違いをもたらし、その表面化が子どもの親不信の引き金となることもあるようです。 【家庭内暴力の原因】 家庭内暴力は、様々な要素が複雑に絡み合って起きるため原因の特定は困難であるといえます。 親の育て方が悪かったという見方をされがちですが、そうとは言い切れないこともあります。 なぜなら、家庭内暴力の原因には社会的な要因、心的外傷、精神疾患などといった、親にはどうしようもないさまざまな要素が複雑に関連している可能性があるからです。 親への反発が暴力を誘発しているケースが存在するのは事実ですが、だからといって親がそもそもの原因であるとする考え方は解決を図る上で有効ではありません。 以上に挙げた社会的影響・心的外傷・精神疾患といった家庭内暴力の原因となりうる3つの要素をご紹介します。 ■子どもをとりまく社会的影響 ・都市化社会における対人関係の疎遠 ・両親の離婚・共働き・転勤などによる家族間の感情的交流の希薄化 ・インターネット・スマートフォンの普及による過剰刺激・暴力シーンへのアクセスの簡易化 ・受験競争や立身出世志向 など、社会的な影響が要因となり家庭内暴力へと結びつくことがあります。 ■DVやいじめ、事故などの経験による心的外傷 ・親に虐待された ・学校でいじめられた ・事故に遭った ・進学に失敗した というような経験を通して得た親への反抗・復讐心、恐怖心、挫折感などの感情が家庭内暴力へとつながってしまうことがあります。 ■精神疾患や発達障害の二次障害 家庭内暴力は統合失調症、強迫性障害、精神遅滞、広汎性発達障害、多動性障害などさまざまな精神疾患が背景にあることが少なくありません。 次にそれらの中でも主な例を紹介します。 【家庭内暴力と二次障害ー精神疾患や発達障害との関連】 ■行為障害(素行障害)の一種である「家庭限局性行為障害」 行為障害・素行障害(Conduct Disorder)とは別名「素行症」と呼ばれる精神疾患であり、社会で決められたルールを守らず反抗的な行動を起こし続けてしまうという特徴があります。 具体的な症状には人や物への暴力的な攻撃、窃盗や長期・複数回の家出などが挙げられます。 国際連盟の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類である『ICD-10』により定められた行為障害の中でも「家庭限局性行為障害」の症状は家庭内暴力に対応しています。 家庭限局性行為障害とは家族が精神的に追い込まれ疲弊してしまうほどの激しい家庭内暴力をおこしてしまう疾患です。 この暴力的な行動は家庭内だけでみられ、学校生活や友人間では問題なくうまくやっていくことができることも特徴です。 家庭限局性行為障害がある場合、精神科医への相談をおすすめします。 ■ADHDの二次障害として現れる「反抗挑戦性障害」 家庭内暴力は発達障害の二次障害として発症する場合もあります。 発達障害が背景にあり、失敗経験を重ねて子どもが自信を失ったり落ち込んでしまったりした結果現れる二次的な情緒・行動の問題を二次障害といいます。 二次障害は周囲への反抗や家庭内暴力、非行など問題行動が外に出るタイプと、うつや対人恐怖、引きこもりなど内面に向かうタイプがあります。 二次障害の中でも、反抗挑戦性障害(ODD)は、別名「反抗挑戦症」とも呼ばれ、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかける、暴言を吐くなどの挑戦的な行動をおこしてしまう疾患です。 反抗挑戦性障害とADHDは強い関わりがあるといわれており、年齢を重ねるとともに合併する可能性が高くなると言われています。 そのような場合、元々ADHDがある人が“人間不信的行動”という二次障害として反抗挑戦性障害を発症する場合が多いです。 人間不信的行動とは、自尊心・自己肯定感が低下して自分はダメな人間かも知れないと思い、そんな自分のことを誰も理解してくれないという気持ちから、周囲の人を信じられなくなったときに起こしてしまう行動のことを指します。 この反抗挑戦性障害を発症している場合も、精神科・心療内科の専門医への相談をおすすめします。 【家庭内暴力を行う子どもの心理】 思春期の子どもが家庭内暴力をふるう理由のひとつとして、感情の抑制が効かなくなってしまうことが考えられます。 イライラや不安、悲しみ、憎しみなどといったネガティブな感情が湧き出てきて、それを抑えることができなくなったとき、感情の鬱積(うっせき)が暴力となって現れるのです。 家庭内暴力をふるう子どもの心理としては、だめな自分のやりきれなさを暴れることによって発散しようという気持ちと、そのような自分をつくった親に対する反抗という、二つの側面があります。 ほとんどの場合、外でおとなしくて家族にだけ暴力をふるう子どもは、「暴力が悪いことだ」とは自分でも理解しています。 なので、「本当は暴力をふるいたくない。でもやってしまう」という罪悪感に苦しんでしまうことも珍しくありません。 暴力行為をどんなに繰り返してもモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからなのです。 暴力をふるうことで自らも傷つき、暴力をふるう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環に苦しんでいる場合があるのです。 【家庭内暴力の解決を目指すうえで親が持つべき心構え】 家庭内暴力は様々な偶然などにより、どんな家族にも起こりえます。 だからこそ、暴力が起こってしまったときや、起こりそうになったときの対応策が重要となります。 以下に、家庭内暴力の根本的な解決を目指すうえで重要となるであろう、5つの「心構え」を紹介します。 ■5つの心構え 1. 現実逃避をしない 2. 過去の話はしない 3. いたずらに悲観しない 4. 「特効薬」を求めない 5. 「リスクのない解決策はない」ことを知る これらのポイントをそれぞれ詳しく見ていきましょう。 1. 現実逃避をしない 子どもが家庭内暴力をふるう前段階として、ひきこもりがちになるケースがあります。 そうやって子どもがつまずいてひきこもり始めたときや暴力をふるい始めたときに、根拠のない楽観論にすがって、子どものひきこもりを放置したり、子どもの暴力を受容したりしてしまうのは、解決を目指すうえでは得策でないといえます。 状況を受け入れてしまうのではなく、問題の根源と向き合う努力が必要となるでしょう。 2. 過去の話はしない 子どもが暴力をふるう原因を過去に探ろうとして、自分を責めてしまう傾向にある親御さんも少なくありませんが、「過去の話をしない」というのも重要な心構えです。 なぜなら、過去に起きてしまったことは、誰にもコントロールできないことだからです。 「親も子も不完全なんだ」と受け入れ、未来のために今できることに目を向けることが重要といえます。 3. いたずらに悲観しない 暴力は、子どもにとっての「正当防衛」ということができるかもしれません。 なぜなら、暴力は子どもが求めているものを伝えるための、自己主張の一つの手段といえるからです。 意外かもしれませんが、実は、暴力もふるわずおとなしく何年もひきこもってしまうほうが解決は困難ともいわれています。 子どもが自己表現の一部として暴力をふるっていることを良い機会と捉え、暴力の裏にある主張に向き合っていくことは、問題の解決に結びつく姿勢であるといえます。 4. 「特効薬」を求めない 家庭内暴力が瞬時におさまり、問題を根本から解決できる「特効薬」は残念ながら存在しません。 子どもの隔離などの方法による、表面的・一時的な解決であれば短期間でも可能ですが、それはまだ根本的な解決とはいえません。 子どもの不安や親子関係自体を解決するのには時間がかかるという覚悟を持つことは、解決を目指すうえで重要な心構えとなるでしょう。 5. 「リスクのない解決策はない」ことを知る どのような解決策にもリスクというのは存在します。 外に連れ出してみる、外部の機関に相談してみるなど、リスクを恐れて実行を躊躇するばかりでは、現状を打開する機会を失ってしまうことになりかねません。 なにより親にとって最大のリスクは、家庭内暴力が長期化してしまうことのはずです。 リスクのない解決策はないのだと知ることは、勇気を持って解決策を打つための助けとなるはずです。 【家庭内暴力に悩んだ時の相談先】 家庭内暴力は、複雑かつ対応を誤るとエスカレートしやすい傾向にあるため、家庭内で抱えこんで暴力の現場を密室化させてしまうのではなく、外に助けを求めることも重要です。 家庭内暴力にお困りの場合、以下のような機関・施設が相談先となります。 ■児童相談所 「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。 ■全国精神保健福祉センター 各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている窓口であり、精神保健福祉に関する相談をすることができます。 相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。 ■精神科・心療内科 心の症状、心の病気を扱う科です。 心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。 心療内科は心と体の不調だけではなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。 ■警察 エスカレートする暴力行為を前に、身の危険を感じた場合は警察に相談することをおすすめします。 警察に通報することで子どもの復讐心を煽ってしまう可能性がないとはいえませんが、自分の身を守るためには毅然とした態度で通報する勇気も必要となるでしょう。 【最後に】 家庭内暴力とは子が親に向けて行う暴力的行為(暴言や物の破壊も含む)を指し、暴力は家庭内限定で行われます。 比較的おとなしい子どもが、ある時点を境に始めるケースが多く報告されており、突然の息子・娘の変化に驚き、苦悩する親御さんは多くいます。 家庭内暴力の原因はとても複雑で、必ずしも親の教育やしつけが原因というわけではありません。 社会的な影響や過去のトラウマ、精神疾患が原因であることも多いのです。 そうした事実を踏まえ、ときに家庭外の第三者の協力も得ながら、対話による意思疎通をベースに解決を目指していくという方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。
投稿日:2018-05-20
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