子どもの自我を伸ばす【ケーススタディ編】
上記では…子どもの自我が芽生えてくるのは4歳代…というテーマでそのキーワードは…「見守り、共感する」ということをお伝えしました。
ただし、「見守る=手を出さない」のではなく、「子どもの気持ちに添う」ということも大切なポイント。
そのために親はどんなふうにサポートすればいいのか、日常の「こんなケースの場合は?」という事例に基づいてお伝えします。
●ケース1
Q.「自分で着替えられるのにグズグズ…。そんなときに親は手を貸してあげた方がいい?」
A.「最後の仕上げを子どもにさせて達成感を味わえるように!」
4歳くらいになると何でも自分でやりたがります。でも…すべてを自分でやると時間も掛かるし大変な思いもします。下手すると失敗ばかりして自信を失ってしまう場合も考えられます。そんな時は…途中まで手伝ってあげて「最後は自分でやってごらん」と促して自分で仕上げる気持ちよさを味あわせてあげると良いでしょう。最初から最後まで子どもにやらせることにこだわるよりも「こうすればうまく出来るんだ」と過程を一緒に楽しむことも大切です。
●ケース2
Q.「お友だちにと一緒に遊びたいのになかなか“入れて”と言えない。 そんなとき、大人が代弁してもいいのか?」
A.「自分で言えるようになるためにまずは大人が手本を見せてあげる!」
まずは子どもが本当に一緒に遊びたいのかを見極める必要があります。仲間に入らなくても子ども自身は困ってない場合もあるので一緒に遊びたい気持ちが強いのにそれを言えない場合には、親が代わりに言ってあげる程度でいいのです。
「入れてくれるかな」→「うん、いいよ」→「ありがとう。いいって。良かったね」
…そんなやり取りを見せてあげることで子どもは「こう言えばいいんだぁ~」と学ぶことが出来るのです。子どもが出来ることや望んでいないことに手を出すのはやり過ぎになりますが、やりたいのに出来ない場合は手を貸してあげても構わないのです。
●ケース3
Q.「危ないことや難しいことをやりたがる場合は?」
A.「手を添えたり教えたりしながら子どもにやらせてあげる」
4歳頃になると親や年上の子どものしていることを見て「自分もやる」と言って難しいことをしたがるケースが増えてきます。子どもは難しいことに挑戦して徐々に出来ることを増やしていくので、むげに否定したりせずに「やりたい」という気持ちを汲んであげることも必要。
例えば…包丁を使いたがるときも親が手を添えてやらせてもいいし、手本を見せながら子どもに切らせてあげてもいいかもしれません。
「ほら、こんなふうに持つと上手に切れるよ」「左手はこうやって添えながらやるんだよ」…と丁寧にひとつひとつ教えてあげましょう。
もしも出来なかった場合も「ちょっと難しいね。少しずつでいいからうまくなるといいね。でも、お手伝いをしてくれようとしてくれたことは嬉しかったな」…と、子どもが難しいことに挑戦しようと思った気持ちは否定しないようにするといいでしょう。
●ケース4
Q.「好きなこと、得意なことばかりやって苦手なものには手をつけない」
A.「好きなこと、得意なことを十分やらせた後で“これもやってみようか?”と誘ってみる」
親としては「苦手なことは克服させなければ!」と思いがちですが、この時期は苦手なことにチャレンジばかりさせて出来ないで自信を失わせるよりも、なにかひとつでも得意なことがあればそれをもっと伸ばしてあげた方がいいです。実際に社会に出ても満遍なくいろんなことが出来るよりも、何かひとつでも得意なことがあるということを求められる場合が多いです。
まずは得意なことをやらせて、その後で苦手なことも「こっちもやってみようか」…と無理強いにならない程度に誘ってみましょう。
好きなことや得意なことを存分にやった後の方が「それもやってみようかな」という気持ちになりやすいのです。
●ケース5
Q.「子どもの答えが間違っているときの上手な訂正の方法は?」
A.「子ども自身が間違いに気づくヒントを出してあげる」
子どもの間違った答えに対して、頭から「間違ってるでしょ!」…などと言っては子どももがっかりしてしまいます。
「そうかな?もう一度考えてみようか?」と促したり、ヒントを出すことで「あっ、そうか!」と気づけるように手伝ってあげることがポイントです。
ただし子どもの気持ちを否定しないことが重要なので、本人が「これでいいの!」と言い張る場合は、「そうかぁ~そう思うんだね」といったん引き下がることもOK。時期を見てまた改めて教えてあげればいいのです。100点満点を目指すよりも80~90点を目指すくらいで丁度いいのかもしれません。
●ケース6
Q.「子どもが遊んで欲しいときなのにどうしても親が手を離せない場合は?」
A.「親の都合をきちんと伝えて分かってもらえるようにする」
親はいつもいつも子どもの要求に動けるわけではありません。4歳くらいの子どもにはそろそろそれを分からせていくことも大切。
例えば…子どもはご本を読んで欲しいと言ってきたけど、どうしても食事の準備もしなければならない場合は、「今、ママはこれをしなければならないの。でもこれが終わったら一緒にご本を読もうね」…と丁寧に伝えるといいでしょう。子どもの目を見て真剣に話すことで子どもも分かってくれるケースが多いです。
そして、「これが終わったら」と約束をしたら必ず約束は守ること!
親のそんな姿を見て、「出来ないときは“出来ない”と伝える」ことや、「約束は守る」ということを学んでいくのです。
もしも子どもが約束を忘れて他のことをしていたら、その他のことが一段落した段階で、「さっきお約束したご本を読もうよ」…と声を掛けてあげましょう。
…以上、日常のケーススタディをお伝えしました。
大切なのは…ひとりでやらせることを急ぎ過ぎず、出来ないことは親が手伝ってサポートしてあげること。
そして「自分で考えさせる言葉掛け!」です。