「コミュニケーション④~「効果的な質問」
効果的な質問を投げかけて、人にブレイクスルーを促す手法があります。
その「質問のスキル」とは、「なぜ?」ではなく、「どのようにして?」と問うことで、建設的な会話が生まれるのです。
「なぜ?」という問いは、本質的な課題に近づいていくため見えていなかったことに気づくことができる反面、「なぜ?」を繰り返すことによって人格否定のように聞こえてしまう危険性も含んでいます。
相手を追求したり、相手に疑いをかけたり、相手に言い訳を促すような問いにもなりうる、そんな性質を持っています。
「なぜテストの点数が悪いのですか」
「なぜミスをしたのですか」
「なぜ相手を傷ついたのですか」などです。
そんな中、「なぜ?」のかわりに、「どのようにして?」と問うと効果的と言われています。
例えば・・・
「なぜテストの点数が悪いのですか」ではなく、「どうすれば点数が取れると思いますか」。
「なぜミスをしたのですか」ではなく、「どのようにすればミスを防げたと思いますか」。
「なぜ相手を傷ついたのですか」ではなく、「どうすれば相手を傷つけずに済んだと思いますか」です。
言っていることは同じでも、「なぜ?」の代わりに「どのようにして?」を使うと相手が「なぜなら…」で答える左脳モードになりません。
質問も柔らかくなるので、柔軟に、物事を考えられる思考を促す「問い」になるのです。
そして、次に重要なことは、質問はしてもアドバイスはしないということです。
「こうしたほうがいい」というアドバイスは、そのときは役立つかもしれません。
一方で、同じような状況で再び使えるとは限らないものです。
いわば多くの場合、アドバイスには再現性がないのです。
「どのようにして」を投げかけて、それを自分自身で考えさせ、実行させるには、どうすればいいかをさらに考えさせる。
そのプロセスが重要なのです。
目的は、相手の自己成長です。
このような質問の仕方が相手の成長を促すことにつながります。
また、質問する時は「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」をうまく組み合わせるとよいでしょう。
この二つは質問方法の代表的な分類です。
相手が「はい、いいえ」または「AかBか」の択一で答えられるような、回答範囲を限定した質問の仕方をクローズドクエスチョンといいます。
これに対し、「どう思うか?」などのように、制約を設けず相手に自由に答えさせるような質問のしかたをオープンクエスチョンといいます。
クローズドクエスチョンは、相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効とされ、オープンクエスチョンは、相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効とされるといわれています。
例えば「昨日京都に行ってきたんだ」に対し、「楽しかった?」「1人で?」「仕事?」などという質問はクローズドクエスチョン。
クローズドクエスチョンは「Yes/No」などの択一で答えてもらえばいいので、相手が答えやすいというのが一番の特徴です。
初対面やまだ相手のことを知らないときには、どう会話を進めればいいか分からないことも少なくありません。
この状況で相手が答えにくいオープンクエスチョンを使ってしまうと、気まずい雰囲気になってしまう可能性もあります。
そのためクローズドクエスチョンで相手の興味・関心を探れば会話のきっかけを掴めるでしょう。
一方、「どうして?」「どうだった?」などはオープンクエスチョンといえます。
上記の例でいえば、「昨日京都にいってきたんだ」に対して、「どうして?」「どうだった?」と聴くことによって、相手に自由に回答してもらうことが可能で、会話の幅が広がりやすいのが特徴です。
オープンクエスチョンで回答の自由度が広がるため、相手の答えに対してさらに質問をすることもで、次の会話へとつなげることも可能です。
話題を展開させたり思考を深めたりするためには、この両方をうまく組み合わせていく必要があるのです。
答えがあまり出てこない場合には答えやすい「クローズドクエスチョン」から入り、徐々に「オープンクエスチョン」に展開していくといいでしょう。